【相模の海に入水して果てた倭建命(やまとたけるのみこと)の妃】

概要
弟橘比売命(おとたちばなひめのみこと)は、倭建命(やまとたけるのみこと)の物語に登場する女神で、妻として夫への愛を貫き、夫の使命達成のため自分の命を海の神に捧げ入水した。

名前の「橘」は、一種の霊樹(神聖な力より生え出でた樹木)であり、常緑樹で冬でも枯れずに実をつけることから、強い生命力の象徴とされる。そうした生命力の象徴と海神(わたつみのかみ)に仕える巫女的な性格が、戦士としての倭建命の力をより強めたと考えることができる。

また、弟橘比売命が海の神に身を捧げるという伝承は、海神や水神を祀る巫女が入水して神の妻となるという古代信仰を反映したものである。入水したのち、弟橘比売命が神に挿していた櫛が近くの海岸に流れ着き、それを拾った土地の人々が、御陵ををつくり手厚く葬った。

別名・別称
弟橘媛、吾妻大明神、等
神格
海の神を祀る巫女の神格化
性別
女神
神徳
出世開運、商売繁盛、縁結び諸など
備考
弟橘比売命(おとたちばなひめのみこと)を祀る神社は、ほぼ神奈川県、千葉県、東京都に限られ、倭建命(やまとたけるのみこと)と一緒に祀られている。

走水神社(神奈川県横須賀市走水)

橘樹神社(たちばなじんじゃ:神奈川県川崎市高津区子母口)

・吾妻神社(神奈川県那賀郡二宮町山西)

・橘神社(千葉県茂原市本納)

大島神社(東京都目黒区下目黒)

・弟橘媛神社(千葉県君津市)

・白鳥神社(岐阜県)

・白鳥神社(香川県白鳥本町)

・白鳥神社(鹿児島県西高屋村)

など。